
⬆⬆陸上自衛隊HPより
今回の陸上自衛隊ヘリコプター行方不明事故、あたりまえですが、機体や隊員たちを見つけられないと原因究明が難しいようです。
最後の無線交信から、機体のレーダー消失までの2分間に何かが起こったとみられています。
今回は事故発生から現時点(4/15)までの情報を整理していきたいと思います。
レーダー消失! 行方不明!
www.nishinippon.co.jpより
事故機は高遊原(たかゆうばる)分屯地(熊本県益城町)の第8飛行隊に所属。この隊などを傘下に持つ第8師団トップの坂本雄一師団長(55)ら10人を乗せたヘリは4月6日15時46分、宮古島の航空自衛隊分屯基地を離陸した。そして10分後、レーダーから消えました。伊良部島北側の洋上に墜落したとみられます。
また、上の画像にもあるように、空港管制と最後に無線で交信したあと、レーダーから機影が消失するまでの2分間に異常が起きたとみられます。現役自衛隊員たちによると「まだ分からないことが多すぎ、原因究明はかなり難しいのでは」と言っているそうです。
消えたヘリコプターはどんな機体?
事故が起きた多用途ヘリコプター「UH60JA」は、災害派遣や急患輸送にも使われているそうです。 機体の信頼性は高く、米国や韓国、イスラエルなど各国軍隊で同じタイプが採用されてきたとのこと。
世界中で使用されている実績十分な信頼できるヘリコプターなんですね。
www.ytv.co.jpより
実は墜落現場が目撃されていた⁉
sn-jp.comより
消息を絶ったとされる方角から、黒煙が上がるのを見たという複数の目撃情報があったそうなんです。
複数の目撃者によると「ヘリは直接見ていないが、黒煙が確かに上がっていた」とのこと。
ただ、水しぶきや黒煙のを確認したのは17時半前後から18時半ごろの間で、レーダーから機影が消えた15時56分ごろとは差があるんです。
う~ん、この時間差はなんだ・・・?
私見ですが、機体が海面と接しているいわば「ゼロ距離」状態だと高度が低すぎてレーダーでも捕捉できないのでは?と考えます。
(戦闘機がレーダーに捕捉されないように低空飛行する状態に近い。)
事故に至った原因は?
・人為的ミス
操縦者が機体の姿勢や高度を錯覚する「空間識失調」の可能性があるが、視界不良時や夜間に発生することが多いようです。事故発生時はまだ十分明るい時間帯でした。パイロットは2名以上乗っていたはずですし、仮に1名が空間識失調になっても別の1名が対応するでしょうね。 可能性は低いと思われます
・機体の不具合
必要十分な点検や確認飛行を実施していることから、可能性は低いと思われます。
・天候
当日は晴天、視界良好。風速は6~7mと全く問題ない気象条件。
その他にも「撃墜説」や「テロ説」「バードストライク説」など様々な憶測が飛び交っていますが、これだと言える決定的なものは存在しないですね。
機体はバラバラ
www.jiji.comより
今日現在(4/15)この他にも多くの部品が広範囲で見つかっています。
バラバラになった原因が爆発によるものなのか、墜落の衝撃によるものなのか、その両方なのか・・・
機体と隊員の捜索
一刻も早く、機体の捜索や隊員の救助が求められていましたが、捜索は難航していました。
それは海底の地形の複雑さや潮の流れ等によるものだそうです。
バラバラになった機体や人間程度の大きさではソナーによる判別が難しいようでしたが、なんとか機体や人のような姿を水深約100mで確認できたとのこと。(カメラでの確認を試みたが、うまくいかなかったようでした。)
その姿を確認できたのが4/13のことです。カメラで確認ができなかったことから、潜水士による直接確認が必要になりました。
しかし、水深は約100m。気圧が違いすぎてすぐには向かえません。水深100mの気圧(水圧)は地上の11倍ですから、いきなり潜ると水深100mに達する前に水圧に押しつぶされてしまいます。(考えただけで恐怖)
そこで必要となるのが「飽和潜水」となるわけです。
飽和潜水
www.sankei.comより
通常の酸素ボンベを使った潜水限界は50メートル程度とされています。飽和潜水では、潜水士が密閉した部屋の中に入って潜水作業地点と同じ水圧下に体を慣れさせた後、カプセルに入って目標の水深まで降下することで、深海での長時間の作業が可能になるとのこと。ただ、加圧から作業に移るまで1日ほどかかるようです。
カプセルや部屋の中はヘリウムガスなどが充満しており、声が高く変わって隊員同士のコミュニケーションも難しいそうです。理論上は永続的に作業できるが、体力や精神力を考慮すると1カ月程度が限界とされています。
※現在(4/15)はこの飽和潜水作業の手前で止まっています。昨日4/14は機器トラブルでカプセルから出られずに中止、本日4/15は天候不良のため中止、再開は4/16以降となりそうです。
実際の潜水作業ですが、まずは機体に残された隊員とみられる複数の人を引き出し「ダイビング・ベル」と呼ばれるカプセルに収容した上で、海面まで引き上げる可能性があるそうです。
次に「ブラックボックス」の回収も必ず行われると思います。ブラックボックスが回収できれば事故原因の解明に大きく前進できると考えられます。(ブラックボックスとは「ボイスレコーダー」と「フライトレコーダー」で構成されており、多くの情報が詰まっています。)
そして、ここからが更に大変です。
水深約100メートルでの潜水作業が終わると、潜水士は時間をかけてゆっくりと減圧を行います。急に大気圧に戻ると血液内に気泡が発生し、血流をせき止める「減圧症」を発症する恐れがあるためなんだとか。減圧には1週間程度かかると予想されています。
減圧症 (潜水病)
www.worldtrip-for-diving.comより
減圧症とは、水深が深い場所の高い水圧によって血液に窒素が溶け込んでいる状態で、急激に水圧の低い水面へと急浮上すると、圧力により血中に溶け込んだ窒素が開放され、気泡が生じてしまうようです。
その気泡が生じた部分で組織障害が起きてしまうとのこと。
気泡が生じた部分によっては運動障害や知覚障害が起きてしまい、重症になるととても危険な状態に陥ってしまうそうなんです。
それだけ危険と隣り合わせな潜水作業になるんですから、万全の状態で挑まなければならないのが想像できます。
機体の引き揚げ
機体の引き揚げも自衛隊が行うと思いきや、自衛隊は海中のヘリを引き揚げる能力を持つ艦艇を所持していないらしいのです。そこで、引き上げは民間のサルベージ会社に依頼されるだろうとみられています。
民間サルベージ会社?・・・
そうです、まだ記憶に新しい北海道の知床沖で沈没した観光船を引き揚げたアノ特殊な船です。
(知床沖で活躍したサルベージ会社の船になるかは不明です。)
ただ、観光船を引き揚げるのと比べて、大きく破損した機体を引き揚げるのは相当難しいだろうとも言われています。
www3.nhk.or.jpより
ここまでザックリではありますが、事故発生から4/15現在までの情報をまとめてみました。
とにかく今は飽和潜水作業の成功と、冷たい海に残された隊員たちをご家族のもとへ帰還させることが最優先ではないでしょうか。
ご家族や友人、関係者の心中を考えると言葉が出ません。
状況の進展がありましたら更新していきます。
4/16、状況に進展がありました。
飽和潜水作業が再開され、海底で隊員とみられる5名が発見されたと13時ごろ発表がありました。
残る5名の行方が気になりますね。また新たな情報が入りしだい更新します。
4/16、更に進展がありました。
発見された5名のうち2名が引き揚げられ、死亡が確認されたと発表されました。
そりゃそうですよ、事故発生から10日ですもん・・・
身元確認が急がれます。
残る3名の引き揚げと、行方不明の5名の発見も急がれます。
4/17、進展がありました。
海底に残された3名の内、2名が引き揚げられたと発表されました。
残る1名の引き揚げも急がれますが、不明となっている5名の発見には時間がかかりそうです。
4/18、進展がありました。
海底に残された残る1名が引き揚げられたと発表。
さらに海底でもう1名を発見。引き揚げは4/19以降になるとのこと。
これであと4名です。1日も早い発見が望まれます。
事故機のフライトレコーダーは洋上での事故を想定したものではないようで、海に墜落した際に海面に浮かび上がり、位置情報を発信する機能がなかったことが判明しました。
4/21時点での身元判明者と現状
・第8師団長を務めていた坂本雄一陸将
・第8師団司令部の庭田徹1等陸佐
・第8師団司令部の神尊皓基3等陸佐
・宮古島駐屯地の司令で、宮古警備隊長を務めていた伊與田雅一1等陸佐
陸上自衛隊は、ヘリに乗っていた10名のうち、死亡したほかの2名の身元の確認を進めるとともに、海底で見つかった隊員とみられる1名の引きあげと行方不明4名の捜索を急いでいます。
また、海上保安庁は今後、通常の哨戒活動の際に付近海域の確認に当たるとし、海保による行方不明者の捜索が事実上、終了したことになったようです。